火事に遭いました:住居編

前述の通り、火事で焼け出されてしまいました。

住所不定

消防による判定は「全損」。

全焼でなくて? と思われるかもしれません。

自宅は長屋となっており、建物としては焼け残ったため、全焼とはならないのだそうです。

しかし、私の世帯は焼失しており、これにより「全損」となるのだそうです。

建物は個人所有であり、一方で、土地は借地であったことから、建物を焼失することで、そこに住む権利も失うということになり、つまり法的には「住所不定」となりました。

これが、あとあと尾を引くこととなります。

4日後の毛布

ところで『消防による判定は「全損」』と書きましたが、実は、この判定が出たのは4日後のこと。

そのため、4日後になってはじめて、自治体から毛布や救急セットが支給されるという出来事が起こりました。

火事で焼け出された4日後に毛布を与えられても、正直戸惑うばかりでしたが、消防の判定がでないことにはどうにもならなかったとのこと。

これで果たして意味があるのか、疑問が残ってしまいました。

取り次ぐだけ

これはさておいても、住む場所を確保しなければなりません。

それについては、救急で担ぎ込まれた病院の相談員さんから、火事で焼け出されたり、DV被害から避難したりする者のための部屋が、公営住宅に確保されていると、お知恵を頂戴していました。

そして役所でも、軽く説明を受けましたが、こちらでは「ウチ(支庁)は取り次ぐだけだから、直接(30km離れた本庁の担当部署と)手続きしたほうが早いよ」とのこと。しかし、ここで受けた説明が正しく無く、後で問題へと発展してしまいます。

何が正しく無いか。

当初の説明は、そのまま公営住宅へ入居できるかの様なものでした。

しかし実際は、30日という、入居期限が設定されていたのです(これはこれで、さらに正しくは無いということが、後になって発覚します)。

応対してくれた職員は、まさに「取り次ぐだけ」の知識しか、持ち合わせていなかったのかもしれません。

縦割り

避難者用に用意されていた公営住宅は2カ所と聞いていました。

しかし、実際に問い合わせてみると、1カ所しか告げられません。またここで、上記の「30日」という制限を、初めて聞かされ、事前の情報とあまりにも異なることから、手続きを保留してしまいました(これも後で、別の問題に発展します)。

あとで分かったことなのですが、公営住宅と言っても、実は民間企業が管理を代行していて、さらに2社で分け合う様な状態となっていたのです。

そして、避難者用の公営住宅は、それぞれの企業が、1カ所ずつを担当していました。

つまり、自社の管轄には1カ所しか無いということで、1カ所のみの案内となってしまった様です。

結果として、公営住宅への避難は、1週間遅れてしまうこととなりました。

片道2時間

用意された部屋は、とてもすばらしいものでした。これについては、とてもありがたく感じました。

ただ、立地が問題でした。

いえ、ターミナル駅まで自転車で30分くらいという、便利な土地です。

しかし、私の住んでいた地域へは、電車を乗り継ぎ、2時間かかるところだったのです(念のため補足しますが、同じ市内です)。

火事の後ともなれば、いろいろな手続きで頻繁に、役所へ通わなければなりません。しかし、両足を火傷した状態で電車で片道2時間、さらに金額にして600円ほどの負担は、とても重く感じました。

手違い

入居からほどなく、部屋の使用許可証が届きました。

しかし、その記述に誤りがあったため指摘したところ、その詫びと供に、新たな事実を告げられました。

入居期限は30日ではなく、60日まで延長できる。さらにその後、別の公営住宅へ入居もできると。

……。

なぜ最初から、この情報が提供されないのか。

実は、別の問題から、10日間で住居を探さなければならなくなり、大慌てをしたのです。

もし、この情報が最初から伝わっていれば、あんな大騒ぎの必要も無く、また満足のいかない古アパートと契約することも無かったかと思うと、いろいろと空しさを感じてしまいました。

火事で焼け出された者のために部屋を提供するという制度には、とても助けられました。これは事実です。

しかし、その制度を運用する様が、あまりにも情けない。せっかくの制度が台無しだと感じてしまいました。

今回の経験を担当部署へ伝え、改善を求めようと考えています。