投げ売りPORTABOOKレビュー

お約束ではあるが、この文章はポータブックで書いている。

そしてまず、かなり批判的な記事となることをお断りしておく。

9万円の文房具、ポータブック

この文章を書いている今日が11月13日なので、ポータブックは、ほぼちょうど9ヶ月前となる、2月12日に発売となった。

簡単におさらいしておくと、文書を作成することに特化したデジタル機器「ポメラ」を発売しているキングジムが企画したWindowsマシンだ。

曰く「フルサイズをコンパクトに、たためるパソコン」。

しかしその販売価格は、およそ9万円前後となった。

キングジムにとってのガリガリ君ナポリタン味か?

おそらくキングジム自身は、ポメラの実績から、9万円前後でも行けると踏んだのだろう。

外部機器接続コネクタにはあえてフルサイズを用い、またキーボードも一般的なものと大差無い、18mmというピッチを実現した高い理想も、付加価値だ。JIS配列であることは、もはや希少と言える。

しかし、だ。

事実として、それが9ヶ月後には、2万円少々という、これを投げ売りと言わずして、何と言うのかという状況に陥った(もっとも、だからこそ、こうして私も購入できたのだが)。

例えば2~3年前に販売された機器の在庫が、いずこから出てきてパっと大安売りされて、一瞬で消え去るということは、そうめずらしくもないだろう。

しかしポータブックは、今現在でも小売店に、どんどん入荷し、この価格で販売されている様子。

売り切れては入荷ということを繰り返しているところを見ると、相当数のポータブックが、安価に卸されているのだろう。

ポータブックを実際に購入してみて

ポータブックのデザイン

まず外箱は、かなりオシャレである。

……が、それを封印する粘着テープが、すべてを台無しにしている感を持った。シュリンクラップではいけなかったのだろうか。

一方で本体のデザインは……、「文房具」なのである。特に画面下の「□KING JIM」というロゴの処理が、まさに文房具にもほどこされる手法でプラスティッキーであり、これに9万円を出した人のことを思うと、なんとも残念な気分になってしまう。

ポータブックに施されたキングジムのロゴ

ただし、一般であれば本体底面に刻印される技適等の表示を、目立たないキーボード裏面に行っていることは評価できる。汚れたり、痛んだりして確認できなくなることも少ないだろう。

ポータブックのキーボード

キーボードが中央で分離し、回転して収納形態となることが、ポータブック最大の特徴だ。

これにより、キーピッチ18mmという、本来であれば本体の幅を超えてしまうはずのキーボードを実現している。

このキーボードは伊達では無く、タッチタイプで戸惑うことは、まず無いだろう。

ただしスペースキーが、分離する左側だけにしか存在しないので、右手親指でスペースキーを打つ人は、ちょっと苦しむかもしれない(実は私がそうだ)。これは後で、キーマップを差し替えるフリーウェアにより、「変換」キーもスペースキーとして差し替えてしまおうと思っている。

またPgUpとPgDnもFnキーとの組み合わせのため、これも個人的には利用しないキーを差し替えるつもりである。

最下段と言えば、キーボードの縁も、やや邪魔である。強度を持たせるためなのであろうが、ここはやはり、縁を低くして貰いたかった。

ちなみにキーボードを折りたたんでも、電源が切れたりはしない(ただし、キーボードロックがかかるそう)。このため、外付けキーボードを使う際には折りたたんでおく等の利用方法も可能かもしれない。

ところで、この変形機構であるが、実は立て付けが、あまりよくない。

キーボードの左右に噛み合う様なロック機構が無く、ガタついてしまうのだ(ロゴの画像で、キーボードの高さが、わずかばかりであるが、左右でずれていることが分かると思う)。これは高級感を損なうのはもちろん、キーを打つ度に、キーボードがカタカタと音を立てるという、かなり良くない現象を起こしてしまう。何か薄いスペーサーを挟めば解決するだろうか……。このサイズにしては配列も素直で、キータッチ自体は悪くないだけに、これは本当に残念だ。

また細かいことではあるが、キーボードが本体からはみ出しているせいで、ホームポジションと画面に、大きなズレが生じてしまうことも、慣れが必要である。

ポータブックのポインティングデバイス

「光学式フィンガーマウス」。これは人を選ぶだろう。

超小型光学トラックボールが、キーボードに載っていると思って良い。

東芝(ダイナブック等)のアキュポイントや、IBM/Lenovo(シンクパッド等)のトラックポイントに慣れた人なら、ある程度受け入れられるとは思うが、今までマウスを使用していた人には、使いこなすのは難しいだろう。

そして、この「光学式フィンガーマウス」以上の問題が、クリックボタンだ。

ポータブックのクリックボタンは、「光学式フィンガーマウス」が搭載されたキーボードの一段下、本体に備え付けられているため、段差が生じてしまっている。さらにクリックボタン周辺のデザインが適切ではなく、余計なくぼみが存在するため、私の場合、ボタンを押しているつもりが、くぼみだったということが、度々起こった。

またスクロールホイールの代わりに、センターボタンを押しながらフィンガーマウスを操作するとスクロールするはずなのだが、これを利用できるのは極限られた環境で、たとえばスタートメニューをスクロールさせることもできない。これは致命的だ。

驚きの65536色液晶?

「驚き」とはもちろん、悪い意味で……、である。

ポータブックのこの液晶、おそらくであるが、どうやらフルカラーではなく、65536色程度の発色の様だ。中間色は、明らかにタイリングが行われたり、つぶれてしまったりしている。

このため、画像を扱う様な作業には、利用しない方が良いだろう。SDカードスロットやUSBコネクタがあるからと言っても、デジタルスチルカメラでの撮影結果の確認等には、到底耐えないものだ。

またキーボードの項でも触れたが、キーボードのホームポジションと、画面の物理的なズレは、気になる人にはどうしても気になると思うので、注意してほしい。

なお日光下での視認性は、今のところ不明だ。

ちなみに、初期設定では、Windows側で125%拡大表示となっているので、視力に自信がある人は100%にしてしまっても良いかもしれない。

また出荷時状態では輝度調整に問題がある様で、セットアップ中にバックライト輝度が揺らめくと言った不具合が存在したが、これはファームウェアの更新により解決する様(再発を確認)である(ファームウェアの最新は現時点でC8というバージョンだが、私が入手した個体はC7というバージョンであったため、公式サイトより最新版を入手し、更新を行った)。

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起動時ESCキーによりUEFI(BIOS)へ入れる
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手元の個体はC7というバージョンであったため最新のC8へ

ポータブックについてその他

処理速度は、実は問題無い。

2GBというメモリも、必要充分だろう。

ただしMMCが足を引っ張っている様で、アプリの起動は、ややもたついたりもする。

それよりも一番の問題はやはり、32GBという、MMCの容量の少なさだ。

カタログなどではしきりに、OneDriveを1TB、1年間利用できるとしているが、それを自動同期するだけの容量も無いので、仮にOneDriveを利用するとしても、手動で管理することになるだろう。

いくつかのアプリをインストールした現在で10GBほどの余裕はあるが、これ以上余裕が減れば、Windows Updateで問題が起こるかもしれない。

せっかくのSDカードスロットも、SDカードが大幅にはみ出す仕様のため、常用することは、まず不可能だ。

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カードスロットから豪快にはみ出すSDカード(画像はアダプタ)

これは同様の問題を持っていたMacBook Air/Pro用のもので解決できないかと考え、手配中だ(届きました→ポータブックの容量不足を解決)。

本体後部のUSBポートに超小型USBメモリを装着するという手もあるが、やはり汎用ポートであるUSBを塞いでしまうことは避けたい。

OneDriveと言えば、ポータブックには、「Office365サービス」1年分がバンドルされる。これはおよそ6千円のもの(1年延長の場合)だ。

ポータブックの総括

ここまでほぼ批判しか書いてこなかったが、これはポータブックを1つの製品として見たからであって、Windows 10 Homeがプリインストールされ、物理キーボードを持ったおもちゃに2万が惜しく無いのなら、充分にアリだ。

個人的には、出先でコードを書いたり、自宅でのリモートデスクトップクライアントとして利用してみようと思う。

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